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題は本来の私の青春時代-3つの思い出 のほうが遥かに良いと思うが(3つの思い出は、映画スタイルとしても、二十歳の死、魂を救え!、そして僕は恋をする に対応していると強く思う)それはそれとして。
『あの頃エッフェル塔の下で』を見返してつくづく思ったがこの作品には高校生の頃に出会いたかった。
主人公の青年期のエピソードがまさに大学生かくあるべきのような描かれ方で、妙に感銘を受ける(映画としては本筋とは微妙にしか絡まないので忘れやすいが、この一連の描写が実に良い)。
主人公のポールは入学が決まったリール大学には取りたい授業がないので(日本のかっての高校の学校群のような仕組みなのかな?)、パリの大学のベナン出身の教授の研究室を訪れてどぎまぎしながら申し入れる。先生の著書を読んで感銘を受けた。先生の授業を受けたい。
何を読んだの?
これです。この本の~を僕も研究したい。
レヴィストロースは読んだ?
少し。
親族の基本構造は?
読みました。
ではクラインの四元群を図解してください。
(一生懸命書くポールの様子を先生が覗き込む)
ギリシャ語は?
わかりません。
なぜギリシャ語は学ばないの?
興味がありません。
なんでも学ぶことも重要なのよ。あなたは向かないと思う。
(凍り付くポール。一生懸命頭を回転させて応える)でも、僕のようなだめな学生も混じっていたほうが他の学生の励みになって良いと思います。
(先生笑いながら)だめよ。でも個人的になら授業をしても良いわ。この本の1ページ目を1週間かけて内容を発表してちょうだい。
で結果的に転入は認められないが個人的に授業を受けることができるようになり、最終的にはディプロームを貰い(リール大学には通っていないようだから単位の仕組みとかわからない。指導教官からディプロームをもらえば良いのかな?)大学院へ進んで外務省の研究員になる。
週末は郷里に戻って恋愛映画になるのだが、平日はほぼすべて貧乏で金がないから友人宅や図書館で寝泊まりしながらずっと勉強したり研究室で講義を受けたりする映画となる(放浪映画というか)。
と、このベナン人の先生との交流が(映画としては)感動的で、おお、学問とはかくも良いものなのかと観ていて実に深く感銘を受ける。
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