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マントヴァから打って変わってイェルサレム。
ヘロデ王は実に複雑怪奇な人であるなぁと思う。
おそらく雇われ(派遣)王様だからだろうが、地位を万全たるものにするために汲々としている。そのため、不愉快極まりないヘロデアスを妻として置いておく必要があるのだろう。
ユダヤ教のラビたちは勝手なことを言い合う。
王を慰めるものは、カエサル(時代は合わないからフリオチェザーレではなく、単にローマ皇帝のような意味だろう)から送られてきた本場イタリアの葡萄酒を飲むことと、歯に衣着せぬ神託を告げまくるヨカナーン(地下牢に閉じ込めてはいるが、むしろユダヤ教の狂信者や妻の送り込む暗殺者から、安全を守るためのように受け止められる)、そしてヘロデアスの連れ子のサロメなのだが、ここでヘロデ王は、サロメに欲情しているようにしか読めない描かれ方をされているが、むしろ、邪心がない美しきものを愛でるという感覚なのではなかろうか。
それが邪心の塊であるとわかったあとは化け物として始末することを選択せざるを得ない。
それにしても、この時代(エレクトラもそうだ)のリヒャルトシュトラウスの金属的な不協和音の爆発は、色彩爆弾のようなココシュカを音楽で10年先取りしたような印象を受ける。聴いていて楽しい音楽ではない。
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