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4部作の中では一番おもしろいと思っていなかったジークフリートだが、字幕や対訳本なしで音だけ聴いたら抜群におもしろいことを発見した。
ミーメが実にうまく本気で嫌悪感を抱かせるような歌いっぷり(悪い意味ではなく、本気で上手いのだ。アルノルトベズエンみたいな名前)で、ジークフリート、さっさと始末しろと言いたくなる。なぜか二人はフンディングの家に住んでいる。
さすらい人は全然さすらい人ではなく、あいかわらず不愉快な黄色のスーツを着て用心棒を連れてうろついている。それにしても2夜目に入っても相変わらず声量、演技ともすばらしい(読めないがトマシュコニツニーみたいな名前の人)。
ジークフリートのシャーガーは話では一本調子の大声野郎みたいに聞かされていたが、声量があるのは当然として実にうまいのではなかろうか。少なくとも動きと場面に合っている歌い方をその場その場で歌っている。というか、おれは好きだな。
でファフナーは向こう向きに介護施設で寝ている。黄色い服の兄ちゃんが面倒みているのだが配役表的にこの兄ちゃんが若かりし頃のハーゲンらしい。まあ、それはあり得る。アルベリッヒが送り込んだという読みかなぁ。
介護施設にアルベリヒやヴォータンがお見舞いに来る。
でファフナーがセクハラしたもので小柄で可愛い系の女性が泣いていると、ジークフリートが寄り添ってハンカチを貸したり、ミーメが寄越した不味いらしいカップヌードル(すくっては食べずに捨てまくっている)を与えたり(というか自分も食べない不味い食べ物を与えるのはどうよとは思った)して慰める。あまりに慰めるので、と思ったらはーいジークフリートと歌い始めた森の小鳥だった。森の小鳥にしては声がでかくて張りがあり、ちょっと力んでもいるような気がするが、これまたおれは好きだ(アレクサンドラシュタイナー)。
で、ファフナーにジークフリートが文句を付けに行くと、ファフナーが歩行器で迫ってくるのでジークフリートは歩行器を蹴り飛ばす。ファフナーは倒れてそのまま苦しみもがいて死ぬ。
はーいジークフリート指輪を持てば世界を支配できるのよ。
なるほどとジークフリートは指輪を取り、こんなものいらないよと若いハーゲンに与える。
本物の宝は子供だからリングはどうでも良いのだろうなぁ。
隠れ頭巾とかは出てこない(が、1幕の最後でミーメが文句垂れていところが2階でどうも隠れ頭巾としか思えないものをかぶった謎の人物が伸びたり縮んだりしている。なんだろう?)
ノートゥングはヴァルキューレでは拳銃だったが、ここでは剣が出て来る。のだが、ジークフリートがカンカンとハンマーで叩くところでは拳銃を撃ちまくることになる。ミーメがびびりまくる。
カンカン響く音とジークフリートが嫌がらせのようにパンパン打ちまくる様子とミーメの震えあがりっぷりと怒りっぷりが、マイスタージンガーのザックスのベックメッサ―に対する嫌がらせ(およびヴァルターに対するベックメッサ―のダメ出し)に被る。おもしろい。
で、3幕。
ジークフリートと若きハーゲンは喧嘩別れをする。どうも森の小鳥を巡る三角関係のように見えなくもない。というか、ヴォータンは当然のようにあっさり撃ち殺される。
ハープの響きが美しい、世界挨拶。
ブリュンヒルデ(ダニエッラケラー)は声は抜群に美しく声量もある。のだが、なぜか退屈に聴こえる。歌手が悪いのではなくテンポ設定が好みではないのかなぁ。
インキネンのテンポそのものは悪くないと思うのだが。
グラーネはジークフリートを徹底的に邪魔する。下手の階段側からは登れないので上手側から回ってブリュンヒルデに近づく。
森の小鳥は飛び去ったのかな(気づいたらいなくなっていた)。
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