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ピッコマで無料だったので読み始めたわけだがおもしろい!
とはいえおもしろいと思えるまでは紆余曲折がある。
最初は薔薇の葬列=ピーターと松本俊夫の超カルト映画の連想があって読み始めたわけだが、なんか絵柄が気持ち悪い。気持ち悪いが嫌ではない(微妙な不快感は伴う)。が、全然薔薇の葬列ではなく、薔薇は薔薇でも薔薇戦争だなとわかったわけだが、いろいろ勝手が違う。
普通に考える通りにリチャード三世(即位前なので単なるリチャードだが)が主人公なのだが、セムシ(何故か変換できない)ではなく、どうもリボンの騎士というか男として育てられている女性に見える。が、王妃から悪魔扱いされて虐待されている。わけわからんと読んでいると、下賤のものにレイプされそうになったところで実は男だということがわかる(おそらく極度の分泌異常で、女性ホルモンに極端に偏った分泌がされている男性なので、胸は膨らんでいるし皮膚や体つきが華奢とはいえ、鍛えまくっているので筋肉はついている。かっこいいなぁ)。
待て、であれば悪魔ではなく天使ではないか。と考えたが、天使が地上に落ちているのだから、なるほど確かに悪魔と言えなくはない(サタンは元は天使のはず)。
ウォリックが中年の勇者のはずなのにインテリ青年(絵の書き分けが下手なのだな)っぽかったり、バッキンガムにいたってはどこからどう見ても超秀才の眼鏡男子だったり、漫画家の趣味が出まくっているのだろうが、さすがに5巻まで読んでいると、そういう趣向でそういう絵柄であるなと納得も出てきて、純粋に薔薇戦争の再解釈ものとして楽しめる。というか、無茶苦茶おもしろい(シェークスピアのヘンリー4世からリチャード3世までは、超愛読書なので、薔薇戦争時代はちょっとわかる)。
リチャード三世といえば猪なわけだが、唐突にそこだけはマンガっぽいとんでもなくかわいい白い猪がここぞというときに登場してくるのがご愛敬だったりする。ここぞというときに登場するといえば、火あぶりにされたジャンヌダルクの亡霊をここぞというというときに登場させるのもおもしろい(設定上と歴史上の微妙な共通点があるからだろうし、薔薇戦争をジャンヌダルクの呪いとして考えることは確かに無茶ではない)。
というわけで、これまでまったく知らない名前だった「菅野文」という端倪すべからざる作家を知ったのであった。
というか、無料期間は明日までなのに、まだ5巻だから買うしかないのだろうか?(買うんだろうなぁ)
薔薇王の葬列 王妃と薔薇の騎士 1 (プリンセス・コミックス)(菅野文)
それはそれとしてATGの作品群はだいたい観ているのだが薔薇の葬列は未見なのだよな。
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