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日々の破片

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2025-03-30

_ 白雪姫

豊洲で白雪姫。どうも評判がよろしくないようだが、例によって例のクラスターがぶー垂れているだけだったのか、何点か除いてとても良いものだった。

まずなんといってもハイホーの歌が良い。今様にしているのか「ハイホッハイホッ」とやたらと歯切れが良いのが抜群で思わず笑いだしてしまうくらいにおもしろい。

しかも口笛吹いてでみんなで楽しく掃除しているのが、鳩時計が8時だか9時だかの時報を告げるといきなり掃除道具を放り出して鶴橋肩に、あっけにとられる白雪姫を置いてきぼりにして炭鉱へ向かうのが素晴らしい。こんなに笑いにあふれた映画だったのか。

ただ、ドワーフの造形そのものはいささか気味悪い(苦虫だけはもともとそういうイメージだから違和感はないのだが、表六玉がアップで泣きそうな顔をしているのは相当気持ち悪くて観るのが辛かった)。

250年以上も毎日炭鉱掘りをさせられて、しかも掘り出した宝石は磨かずに放置(とはいえ、舞台美術上は煌めいている)というのではシーシュポス並みの拷問としか思えないが、本人たちは楽しそうなのでまあ良いのだろう。

元アニメの再現で印象深いのは橋を渡るシルエットと、牢獄で手を伸ばしている骸骨なのだが、あの骸骨は行方不明となった王なのだろうか(おれは、アニメでは狩人なのだと思っていた)。このバージョンでは、白雪姫を守るという1点だけで狩人とジョナサン(それにしてもなんでこの名前にしたのだろうか?)が共闘するシーンを入れたくて狩人を生かすことにしたので、骸骨の出自が謎めいてしまったのだとは思うが共闘に至るシーンが悪くなかっただけに気にしてもしょうがなかろう。

問題はそのジョナサンで、城に忍び込んでジャガイモを盗むとか異常にせこいし(石川五右衛門のように玉の命を狙うとかしないのはなぜだ)ラプンツェルの盗賊みたいに無精髭もなくツルツルニカニカだし、あまりにとってつけた感が強過ぎる。のだが、おとぎ話のでたらめさにはうってつけにも感じて、驚くことにまったく違和感が無さ過ぎて奇怪だ。

技術(魔法という呼び方がされる)の粋をつくした花や美や短剣が、ナチュラルでナイーフなどうでも良い(努力もなければ学問もない)ものには勝てないという、野蛮な発想はいかにも3/4半世紀前のディズニーのリメイクだけにおもしろい。


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