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しかし、どうしてもわたしは、すっきりと、つまりじっくりと、わたしの本をダイジェストする気分にはなれません。すっきりも、じっくりも、わたしの好みではないが、なによりダイジェストというやつがイヤなんです。
花田清輝『ドン・カミロとペポネの抵抗』
なんか、いろんなところ(追記:文字通りいろんなところなんでいちいちリンクは張らないというかどこかわからないし)で読点を打つことについての言及を見かけるが(どうもはてなの質問コーナーが発信源なのかな)、Web上の日記やblogなんてのは成り立ちからしてエッセーなんだから、読点なんか読みやすいように入れりゃいいだけなんじゃないか、と不思議に思う。
で、唐突に青木さんのこの本が出てくるのは、これは本当の意味での優れた入門書なんだが、なんとなく通じるものがあったような気がしたからだ。
プログラムの入門書ってのは大体、次のようなカテゴリがあるかな。
1.ある言語の入門書(C#の入門書とか)
2.ある開発環境の入門書(Eclipseの入門書とか。たとえば言語、ここではJavaの入門書は読み終わっているほうが良かったり(1.の後)または兼ねていたり(1.共用)
3.あるフレームワークなりライブラリなりの入門書。1.は前提。
4.あるジャンル(たとえばゲームプログラミングとか)の入門書。結果的に3と同じになる場合もあるし、1を兼ねている場合もあるが、大抵は1.が前提。
5.ある方法論の入門書。メイヤーのオブジェクト指向本は1.も兼ねているが、通常は、1〜4とは独立。当然1.は前提。
で、1.の前にコンピュータリテラシが来るのだが、それは具体的にはなんでしょう? ってのに答えたのが青木さんの「独習前」本だ。ディレクトリの意味から始まってPATH、コマンド、コピーの仕方から、とりあえずプログラムの主要な概念(変数とかオブジェクトとかメソッドとか)、H/Wの基礎知識、アドレスバス、ツール、コーディングスタイル、リファクタリング……など。
ここまで知識を持てたらばっちりでしょう、という感じなのだが、文章を書くということについても、同様に前提となるリテラシのリテラシ(っていうかメタリテラシ)を正/不正で必要としているのかな、というのが疑問のはじまりだ。
では一体、最初のリテラシはどう形成されるかについて考えて見る。まだ内容を考えて書くのではなく書き方を学ぶ時点でのことだ。
そこで、子供が使ってた小学校1年の「こくご」の教科書を見てみると、最初はわかち書きではじまるのは、まあわかる。以下、引用は、光村図書の「こくご一上」から。
ひろい そら
たかく たかく
で、しばらくすると句点が入る。
どんな あいさつ
するのかな。
次に主語のみ区切り出す。
くまさんが、
ふくろを
みつけました。
目的語にも入れてみる。
追記:違う。目的語は上の文の「ふくろ」だから、目的語に入れるのではない。
くまさんが、
ともだちの
りすさんに、
ききに
いきました。
追記:こっちはなんだっけな。忘れちゃった。
追記の追記:目的語を合わせて3年生の教科書では「修飾語」と読んでいる。例文を見ると、「を」で終る目的語に相当する修飾語には読点を入れていないが「に」で終る修飾語にはやはり読点を入れている。
その後は複文が出て来ると、各文の切れ目に入るようになる。
わには、かわから かおを だし、
どこへ いこうか、かんがえた。
「わには」は主語。「わには川から顔をだした」+「わに(というより私)はどこへいく」。最初の原則の主語「わには」と目的語「??いこうか」(目的語に入れるのではなく複文の切れ目だから入れると上で書いてるじゃん)にはそのまま読点を継承する。
それとは別に接続詞と間投詞の後にも入れるようだ。
……
けれども、かぶは ぬけません。
……
それでも、かぶは ぬけません。
……
やっぱり、かぶは ぬけません。
追記:ここでは主語に読点が入ってない。述語に直結しているからかな?
もっとも、「やっぱり」は副詞だから、この場合は単にリズムの問題とも言える。一方で用法としては間投詞のようにも見えるからそれほど規則性を破っているわけでもないかも知れない。これを除けば副詞と形容詞といった修飾語(連用、連体を問わず)と被修飾語の間には読点は入らないようだ。
一上ということは、ここまでで大体1年生の2学期の中頃だから、読点の出現パターンは、複文を含めて出てきていることになる。で、この結果は現在の僕の意識とそれほど違いはない。漢字を利用することで分かち書きはほぼ不要化するから、後は、リズムを取るための位置決めだけだろう。
で、先頭の花田清輝に回帰する。
追記:副詞が呼応する動詞と離れている場合は入れたほうが読みやすいから、そっちとも考えられるな。
mputさん、やましたさん、どうもありがとうございます。
元から入っているやつはXEmacsじゃないのでこの場合は違いました。
で、EasyPackageからのやつだと、C-?は無視されるのですが、もしやと思ってやってみたら、C-Option-?がtoggle-input-methodで、日本語入力できました。
追記:XEmacsじゃなくてGNU Emacs 21.3だった。
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まさに正しい言及の仕方で反省しました。青木さんの本よさそうですね。