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赤坂アクトシアターでコーラスライン。
なんとなく、ジークフリートフォーリーズ風なラインダンスのスティールの印象が強いせいか、想像していた物語とかけ離れた物語というか設定で驚いた(というのは購入したプログラムを読んだ時点で、実際に幕が開いた後はわかっていたので落ち着いて観ているわけだが)。
ミュージカルのオーディションを受けにきたダンサーと、選ぶ立場の演出家のオーディション風景と、面接に当たる個人語りによって2時間ほどの舞台が回る。音楽は8ビートの(なので、演出家は、5,6,7,8とカウントする)偽古調で、スティングの音楽を手掛けた人(ジャニスジョップリンの元曲を編曲した人)ということであーなるほど感がある。
物語的に、誰がオーディションで選ばれるのかというのが一種のサスペンスになっているようだが、セリフがそれなりに長くても男については大ざっぱに切り捨てる(もっともバンダナ男のように落とされることが仕掛けられている人もいたりする)ので、そこはどうでも良いのかも知れない。とは言え、女性についてはそれなりのサスペンスが用意されているので、多少は狙っているのかも。
20~30歳(面接なので自己申告する)のダンサーであっても、男はboy、女はgirlと呼ぶのだな、とかの英語がおもしろかったり。titsっていうのは口にしない言葉なのかと思っていたが、普通に使う言葉なのか、とか。あと、なぜかミズーリ出身が多いなぁとか、ホモセクシャルだと退学を勧められるのかとか(オリジナルは1970年代だから、まだそういう時代なのだろう)いろいろ細かいところもおもしろい。というか、英語が聴き取りやすい不思議な舞台だ。
で、ダンスは最初のあたりでは、ばらばらだったり妙な手の動きをしていたり(この人は演出家の指示を忠実に素直に学ぶ人という役回りらしい)したのが、最後のラインダンスではぴったりと揃って、おお、(オーディションでいきなり示されたダンスを踊るという設定での)下手なダンスと、実際に舞台を踏んだ時のうまいダンスと両方をきっちりやるのはすげぇなぁとか、途中、演出助手が休憩を進言するまでずっと立ち続けでいられるのはさすがだなぁとか(おれは、10分以上起立をしていられないだけに)体力的、技術的なところにも感心したが、なるほどうまい。脚本、演出、音楽ともに練られていて、弛緩なく適度な緊張を保ったまま2時間を見事に楽しませてくれた。ショービジネスのプロってのはさすがだなぁ。
あと、選ぶ立場の演出家が客席側からオズの魔法使いにみたいにマイクでぶっきらぼうに言葉を投げかける(したがって、ダンサーは自然と客席に話しかける)というのもおもしろかった。
ブロードウェイ♪ブロードウェイ コーラスラインにかける夢 (プレミアムエディション 2枚組) [DVD](マイケル・ベネット)
(コーラスラインというオーディションを舞台にしたミュージカルのオーディションのドキュメンタリーという、舞台-オーディション-オーディションというメタメタ構成の作品があるのがおもしろい)
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