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ハラショー。
子供がグリーにはまっている関係で図書館から借りて来てたので観た。というか、最初グリーがどうしたとか言うから、携帯ゲームにでもなったのかと思ったら、グリーはグリーでも合唱のほうのグリーだった。っていうか、誕生祝にDVDボックスを買ってやったのがグリーだったのを忘れてた。
glee/グリー DVDコレクターズBOX(マシュー・モリソン)
(スクールカースト最底辺に属する合唱クラブに入った女の子がクラブを成功に導くためにチアリーダースターとフットボールスターの2人を引きずり込んで頂点を目指すという話らしい。くっだらねーと思う一方で、アメリカでこういうドラマを観ている連中ってどういう層なんだろう? という興味とかいろいろ湧いてくる)
で、そのグリーの連中がロッキーホラーショーをやるというので、急に興味を持ったらしくて図書館でCDだのDVDだのを借りて観たり聞いたりしているので、借りて(又借りだな)観た。
これはいいなぁ。
実際には、過去に観る機会は山ほどあったのだが、なんとなく敬遠していたのだった。多分、ミートローフの体型のせいとか、同じような(ロックミュージカル、どちらかと言えばカルト、ホラー+SFとかそういったあたり)ファントムオブザパラダイスのビーフに相当するのが主役ってのはいやだなとか、そのあたりが理由だと思う。
が、なんか敬遠していたのがばかみたいだ。最高におれ好みのミュージカル映画じゃないか。
ロッキー・ホラー・ショー (2枚組特別編) [DVD](ティム・カリー)
最初はいもねーちゃんなスーザンサランドンがどんどんコケティッシュになったり、コロンビアという名前の不思議ちゃん系の異星人の娘がやたらと可愛かったりとか女優の魅力も良いけれど、出入り口がエレベータ以外に無いから車いすを部屋に入れるために壁を破るとか、とりあえず書いてみましたみたいなレーザー光線やら、人間が不足しているから教会の職員もやっていますとかの手作り感と、話の壮大さ、音楽の美しさ、博士がジャネットとブラッドに同じように仕掛けていく脚本のおもしろさというかくだらなさ、ジャネットとロッキーのからみ(タッチミーの歌が良すぎる)をマジェンタとコロンビアがモニター越しに茶々を入れながら観ているという構造とか、これこそミュージカル映画っていう魅力に満ちあふれている。
1950~60年代のSF映画は、子供の頃にテレビで観まくったので、其の手の記憶の刺激されっぷり(=正しい映画のありよう)も見事なもので、イントロのサイエンスフィクション2本立ての歌からして禁断の惑星(イドだね)とかドクターX(知らないけど)とかキングコング(最後にロッキーが博士を抱えてRKOの鉄塔を昇るのは、意識しているだろ)とか蟻(AmigaのITというゲームにもなったけど、原子力ででっかくなった蟻はおっかない)とか、映画がこれから始まるよという楽しさに溢れまくっている(クレジットの字体とかも)。で、ドラキュラ映画っぽく教会の尖塔から幕が開く。要所要所に語り手の犯罪学者が出てきてもったいつけたくだらない話をする(このスタイルもあったなぁ)、でもだんだん踊りの振り付けを説明したりと崩していくのもうまいところ。
唐突な博士の倒錯っぷりも素晴らしい。
(映画の記憶ということでは、最後のRKOのラインダンスから、オゾンの焼け石に水がつながって、あの不快な映画をまた観たくなったし、博士の無茶っぷりといえばベルリンのローザフォンブラウンハイムの記憶(ベルリンブルースの中では衣装倒錯者という意味でトランスベイターという言葉を使っていたと思うけど、transvesterではなさそうだ。ドイツ語なんだろうか? ゲイもバイもトランスベイターもみんな集まれというような歌を合唱していた記憶がある――が、リンク先の解説を読むと性転換者=トランスベイターと書いてあるなぁ。とすると、ゲイもバイもトランスベイターもトランスベスターもというような歌だったのを後ろの2つを繋げて覚えているだけかも)が導かれ、あの猥雑な連中、サーカス芸人やショーダンサーの世界を観たくなる)
というわけで、子供のおかげで実にいいものを観られた。
The Rocky Horror Glee Show(Glee Cast)
(驚くほど原作(映画のほう)の歌に忠実だったり)
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