著作一覧 |
アスキーの嘉平さんにFounders at Workをもらったので読み始めた。
書いているのは(というかインタビュアーは)、ポールグレアムの奥さんらしい。ジェシカリビングストンという人。(Yコンビネータのファウンダーの一人だとは書いてあるけど、奥さんだとは書いてないな)(追記:奥さんであってた
序文でポールグレアムがこんなことを書いている。
本書は、今に至るまでほんの一握りの人々しか見ることのできなかったこと、つまりスタートアップの初年度に起きることを、明るみに出す。
おもしろいのは序文の〆の言葉。
スタートアップが会社っぽく見えるように努力をするのではなく、既存企業がスタートアップ風に見えるように努力する時代がすぐにやってくるだろう。それはよいことだ。
書いている(インタビューしている)のがYコンビネータの人だからと言って、登場するインタビューイはYコンビネータから資金提供を受けた人とは限らない。最初はPayPalのマックス・レブチン。知らないけど。でも顔写真が付いてくるのでなんとなくどういうやつかわかる。で、Hotmailの次は、Appleでわれらがウォズニヤック。いや、これは良い。だってインタビューで、内容はファウンダーに訊くってやつだぜ。でも、
マイクロ秒差のごく一部分のなかで、ハイからロー、ローからハイにシグナルが送られるタイミング……ここにシグナルをセットして、4μ秒ごとという一定スピード……AA D5 AA 55のようなパターン……
という調子でフロッピーディスクの設計をしたときの話を延々と始める。おもしろいやつだなぁ。大好きだ。
で、レイオジーとかミッチーケイパーのような過去の英雄たち、かと思うとファウンダーではないけどGmail作者のポールブックハイトとか(実質的にグーグル社内のスタートアップとかリードで書いているから、そういうことらしい)、アドベのチャールズゲシキとか、37signalsのDHHとか(ファウンダーじゃないと思うが、肩書もパートナーになっているし)、当然のようにViawebのファウンダーとか。TiVoとWebTVが入っているのが興味深い。それから、マリンバ(敗者もおもしろいのだ。でも「最終的に賭けに勝ちました」と言っているのだが、マリンバって勝ったのか? 忘れがたいソフトウェア・アーツのダンブルックリンのも実に良い)。など、総勢33人(最後はYコンビネータとしてジェシカリビングストン自身なのでインタビュアーはQという人)。追記:32章のロングラナー(DG出身アライアント経由shareholder.comの人もおもしろかった。金の話が多くてもしかしたらすごく実用的なことを言っているのかも知れないけど、それとは関係なくHWの人はおもしろいな。
薄い紙に小さな字で570ページ。なぜか、『初級技術者向け』と書いてあるのが不思議なところで、普通に愉快な人たちのおもしろいインタビュー集として読める。もちろん起業精神旺盛な人やシリコンバレーへ行って一旗とか考えているのなら、それなりに得るものはあるだろう。にしてもウォズニャックはいいなぁ。
ジェズイットを見習え |
JLとPGが結婚したのは "Founders 〜" の執筆より後だったと思います。
どうもありがとうございます。http://www.ovguide.com/jessica-livingston-9202a8c04000641f800000000484f621 に、2008年に結婚と書いてありました。表題裏のCopyrightだとAPressから出たのは2010年なので(翻訳の底本のはずだから実際にはそれより前かも)単に本書とは無関係なトピックというだけかも知れません。むしろ、今ひっくり返して気付いたけど、いつのインタビューかがはっきりしないのは瑕疵のような。
うちの原書は2007年になってます。2006年夏にPGとJLに会った時に、もうすぐAPressから本を出すって話をしてたのでそのくらいかと。
確かに各章リードの人物紹介はそのへんで終わってますね。お会いした時の感じはどうでした? 良い仕事をしたという感じか、是非よめという感じか、疲れる仕事だったという感じか、こんな人に読ませたいんだ、とか。
本の話はあまりしなかったんです。「もうすぐ出すけど、また翻訳する?」「チャンスがあれば」くらいで。Y Combinator Dinnerにお邪魔した時だったんで、どちらかというとY Combinator lifeについていろいろ話したような気がします。
おお、それも興味深いですね。> Y Combnator life。<br>よろしければ差支えの無い範囲で、Island Lifeに書いていただけると嬉しいです。
この時です: http://blog.practical-scheme.net/shiro/20060801-visiting-ycombinator 当時はYCもまだ3期目で、要領がだんだんわかりかけてきた頃だったのだろうと思います。その要領についてはPaulが折にふれエッセイで述べているので、特に私が付け加えることはないかと。
ああ、思い出しました。すごい世界だなぁと感心半分、残りを羨ましさ半分、こういう世界には着いてけなそうだな半分みたいな気持ちで読んでました。