著作一覧 |
ヨナスカウフマンというテノール歌手がいて、最初に知ったのはカルメンのドンホセ役だった。
カルメンが観たくなったので適当にDVD探していたら指揮がパッパーノだったので歌手は知らないなぁと思いながら買ったのだった。
ビゼー:歌劇《カルメン》 [DVD](カウフマン(ヨナス))
観たら、実にイケメンテノールで、なんかオペラ歌手やらせておくのはもったいないなぁとか子供と言いながら観ていた。で、カルメンなので最後の幕では故郷からぼろぼろになって闘牛場の外でカルメンを襲うのだが、イケメンっぷりはそのままに衣装が異様なまでにボロボロの演出で妙に印象が残った。
で、しばらくしてテレビでチューリッヒかどこかの音楽祭のトスカを観てたら、カバラドッシがやたらとイケメンで、子供とこのイケメン、どこかで観たことあるなぁとか話していて、ドンホセのイケメンテノールだと気付いた。
で、カバラドッシなので、当然のように王党派の秘密警察に捕まり拷問を受けてボロボロになってトスカと対面する。で、子供とまたボロボロになってるよ、と話し合う。
プッチーニ:歌劇《トスカ》 [DVD](カウフマン(ヨナス))
で、今日、メトロポリタン歌劇場のライブビューイングでパルシファルを観に行った。パルシファルをカウフマンが歌うのだった。
パルシファルはCDでは聞いていたが、ちゃんと舞台を観たこと無く、シナリオもちゃんと読んだことなかったので、どういう筋が知らなかった。でも、ワーグナーだからボロボロということはなかろうと高を括っていたのだった。
1幕はルネパーペが見事に騎士の大先輩を歌いまくっていて、このバス歌手の演奏が聴ける同時代に生きていてラッキーとつくづく感じる。メトの来日で、ドンカルロのフィリポ二世を歌うのを観てからのファンである(パーペがオレステを歌っているのでエレクトーラを買ったりしている)。
で、カウフマンがただの阿呆として出てきて追放される。もちろんボロボロではない。
第2幕、魔術師の館でクンドリに誘惑されることで知性に目覚めて、魔術師を真光の業で退治してロンギヌスの槍を奪還する。
カウフマンってイケメンだが声が汚いので好きではなかったのだが(特にフォークトのローエングリンを観てしまっただけに、こういう汚い声のワグナーテノールはあえて聴く気にはなれない)、この役について言えば、演技がうまいこともあって、良いものだなぁと感心しながら観る。当然、血まみれにはなるが(舞台が血の池だからだが)、ボロボロではない。というか、ぷよぷよした裸にはなるけど。
で、第三幕。王様が聖杯を出さないもので世界は荒廃している。と、向うからロンギヌスの穂先が見えて……あ、ボロボロになっている。
意気揚々と帰って来るのかと思ったら、呪いのせいで道がわからなくなり、しかも槍を清らかな状態で保全するために戦いで利用できないので武器という武器で攻撃されてきたため、ボロボロになって聖杯の地へたどりつくという設定だったのだった。
というわけで、映像で観るカウフマンは、これまですべて最後にボロボロになっていたのであった。
ジェズイットを見習え |