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角さんとオライリーからTeam Geekを頂いたので、読んだ。完読した。これはひどい。おもしろいし、おそらくとても役に立つから、みんな、読め。
Team Geekを一言で説明すると『Googleに勤務する中堅エンジニアがOSSのプロジェクトやGoogle含む企業で遭遇した経験を元に解説する成功するチーム作り本』なのだが、おそらく、その言葉から推測される内容とは全然異なるものが読める。
ここで読める(学べる)のは、(本書と同様に虚飾を取っ払った率直な書き方をすれば)どうやって自分が組織の中で成功するかについての技術だ。
中核をなす技術は、HRT(謙虚、尊敬、信頼)であり、それに基づいた行動規範が導かれ、その規範にしたがってどうすれば良いかについてケースとそれに対するアンチパターンや成功事例を示す。謙虚、尊敬、信頼! ってまるで根性、友情、勝利みたいに、正義そのものだ。
しかし、書き方がギークそのものなのだ。つまり、虚飾がほとんど無い。
その結果、出て来たものはとんでもなく邪悪なものだ。しかもおそらく書いている本人たちは、すごく真っ白なつもりでいるみたいだし、ある視点において、まったく白い。
あ、まさにグーグルじゃん。
(著者の祖母はモンテッソーリ系の学校を運営しているらしいことがちらっと出てくるが、おそるべしモンテッソーリ)
清濁併せ呑むというような無駄を排除して、ひたすら謙虚、尊敬、信頼の傘の下(謙虚、尊敬、信頼は目的ではなく、成功のためのツールだという点に注意)で成功を追い求める方策を論理的に展開すれば、そこからこんな化け物のような書物が生まれるわけだ。
Team Geek ―Googleのギークたちはいかにしてチームを作るのか(Brian W. Fitzpatrick)
僕の正義の感覚から言えば、この本は悪の教典に属する。が、僕の正義の感覚はもう一方で、論語の道徳律は世のためにならないゴミだが法家の組織論は正しいとも認識している(孔子は法律を民衆に示した晏子を非難した。だが、法家は法を明らかにすべしと説く。後者が完全に正しい)。したがって、理屈の上では、この本は文句の付け所がなく、正しく、世の組織はすべてここで書かれたように運営されるべきだ。
というわけで、まず読まなければ話にならない。
モンテッソーリとグーグルについてはこの本が少し参考になる。
グーグル ネット覇者の真実 追われる立場から追う立場へ(スティーブン・レヴィ)
# P.92の図3-10についての縦軸と横軸の矢印のキャプションは逆じゃないかな。マンネリにはモチベーションを示し(横軸)、見て!リスだ!には方向性(横軸)を与えるとすると「軸」がおかしい。まあ、この図はヨタ話の部分なので、間違っていたからといって内容にはまったく影響しないからどうでもいいのだけど。
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