著作一覧 |
iPodの中には山のように音楽が入っていて、既に何がなんだかわからない状態だ。さすがに買ったやつは大体覚えているが、そうはいっても一番古いのは20年以上前だし、レンタル屋で借りたやつとか、友人から譲ってもらったやつまであるので自分でも全容がわからない(残念なのは、一番最初に思い立ってリッピングを始めた時、ロック/ニューウエーブはすべて64k MP3にしたことで、iPodやiBook(当時はiBookだった)で聴いているときはまったく気づかなかったが、異様に音が貧弱なことだ。が後悔先に立たない(Book Offに全部売ってしまったからだ))。
ふと気づいてみてみると、10年前で、まだiPodがたったの15Gしかない。
ここで自分を愚かだと思うのは、次の順に処理してしまったことだ。
1)そうだiPodに全部入れよう。
2)最初はクラシックではなく(この判断はOK)、ロックだろうな。移動向きだし。
3)とりあえず、何か忘れたけど1CDリッピングしたらしい。デフォルトだからAAC 128Kじゃないかな。
4)げげ、サイズでか過ぎ。これは入りきらないな。
5)良くわからないから、MP3の64Kにしてみよう。
6)お、これならいけそうだ。
7)まずはボウイ、リード、そしてポップグループとかだなという調子で、良く聴く、好きなやつからリッピングを始めている。
ウィ・アー・オール・プロスティテューツ(最後の聖戦)(ポップ・グループ)
(今でも好きだよ。ベースがブンブンブンブンと鳴るとマークスチュワートが、We Are All Prostitutes !とシャウトする。追記:嘘ばっかり。それはForces Of Oppressionだ。We are all prostitutesはピピピピピピと笛が鳴るやつだ)
あー、バカ野郎。なぜ、そこで好きなやつからMP3 64Kなんてやつで入れるんだよ。
で、1/11の日記を読むと、さすがに余裕過ぎだとAAC 128Kに設定を変えてやがる。(が、やはりでか過ぎて、すぐにAAC 64Kに変えていることがわかる。が、しょせんG4のiBookなので、エンコード速度が遅いとまたMP3 64Kに変えている。で、その後にダウランドコンソートのやつまで入れている。なんてバカなんだ。その後、容量が大きいやつに買い替えることになることをなぜ予測しないのか。あるいは、PowerBookに買い替えているんだから、もう一度リッピングし直せよ~と後知恵で考えても、死ぬほど面倒だったし、Book Offした後だから後の祭りの笛太鼓だよ。
それから10年経って、カーステレオである程度まともなスピーカーで音量を上げて聴く機会が増えて、唖然とするほど音が悪いのであった。ポップグループのダブはこんな音じゃねぇ。ボウイのヤングアメリカ時代はもっと切れがあるよ。でもSuicideはこんなものかな。
で、先日、車の中でやたらと音が悪いラボエームの二幕が流れてきて、まるでMP3 16Kくらいなのだが(もちろんそんなものはなく、クラシックのリッピングを始めるこ頃にはマシンもiPodもクラスが上がっていたのでAAC 128Kのはずだ)、すさまじく素晴らしい。クラシックの場合、ランダム再生だとすぐにトラックが変わってしまうのだが、これについては全然途切れないので、はてこれはなんの海賊版だ? と不思議になる(くらい音が悪い)。
音は悪いが、音楽はとにかく素晴らしい。
テンポは緩急自在。驚くほどだ。こんなに緩急自在にライブで演奏できるのは、世界広しと言えど、ウィーンフィル(だがオペラはやらないけどと思ったが、ウィーンシュターツオーパーになるわけか)かスカラ座しかいないんじゃないか。
なんのCDだろう? 雑踏の速度と4人組+ミミの速度がくっきり異なっていて、世間と4人組の世界が同時進行でありながら異なる世界であるように感じさせる。
ルドルフォの声は甘すぎて(というよりもドンくさくて)あまり好きになれない……つまりパヴァロッティだな。で、ミミは誰かわからないが、ムゼッタのワルツがこの世のものとは思えないほど美しい。しかもテンポは相変わらず緩急自在だ。
指揮者もムゼッタも普通じゃない。この声は、聞き覚えがある……ポップだ。とすると、指揮はクライバーなのか? でもスカラを振ったっけ?
と考えているのだが、音楽があまりにも素晴らしい。あまりに素晴らしくて、曲を切っていないのに、観客が拍手してしまう。田舎の劇場ならともかく、もし推測通りにスカラ座だとしたら、信じられない。スカラの観客は、いったい、舞台の上で何を目撃したのか? ほんものの音楽だろう。
あまりに素晴らしいので、同じCDを一幕から通して聴くことで子供と意見が一致して(ランダム再生をやめたり、結構面倒だが、子供が操作してくれた)、家にたどり着いたが、そのまま車を走らせることになってしまった。
1幕も素晴らしいのだが、あー、おれは本当にパヴァロッティが好きではないのだ。それでこれまでまともに聴いたことがなかったのだな、とわかる。
わかるのだが、やはり素晴らしい。指揮者とオーケストラがまず普通じゃない。美しき乙女よに入るところの本当に絶妙な間。本物の音楽は音が鳴っていなくても音楽がある(それは当然で、作曲家が休符を指示しているからだ)。
2幕、2度目なのでますますオーケストラの動かし方がはっきりとわかる。やはり普通ではない。遅いところは異様に遅いのだが、それがぱっとすごい速度に変わる。再生される音は最低なのだが音楽は最高以上だ。
3幕、ロドルフォがマルチェッロにミミは病気なんだと歌いはじめ、陰で聞いてきるミミがあー私は死ぬんだわと歌うところ、でロドルフォに戻るところ、が信じられない。パヴァロッティとは思えないほど、素晴らしい(もちろんパヴァロッティは天下の名歌手だがおれの好きな声ではない)。あまりの素晴らしさに、一瞬歌が途切れたところで、1人、見事なタイミング(うん、これはスカラ座だ)でブラーヴォと入れる。本物のライブだ。
というか、ポップのきんきんした悪口合戦もいいなぁ。というか、ここの4重唱がこれだけ美しく聞けるとはなんてことだ。
4幕、ロドルフォとマルチェッロがくだらない口喧嘩の後、あー、あの生活は夢だったよなぁとかしみじみと合唱するところの美しさ。
これまでクライバーはすごいやつだとわかっていたが、すごいやつどころの話ではなかった。
信じがたいプレミア価格をつけているやつがいるが、それ以上の価値はある。
それにしても、この演奏は本当に驚きだ。
ジェズイットを見習え |
自分で試してはいないのですがiTunes Matchを利用してビットレートを上げる方法があるようです。 http://pc.watch.impress.co.jp/docs/column/config/20140516_648661.html
なんとこんなサービスがあるのですね。どうもありがとうございます。POP GROUPは無理としても(版権が複雑過ぎて幻のCDになっているらしい)ボウイとか結構救われそうな気がするので試してみます。