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これは素晴らしかった。感動した。
ケチをつけようと思えば、元帥夫人のアンネ・シュヴァーネヴィルムスがいまひとつぱっとしない(歌が。しかし元帥夫人の立居振舞として、3幕はそれは見事なものだった。また黒い衣裳が実に合う。これこそばらの騎士の元帥夫人だ)し、3重唱に入る前に何か声質が変わったような妙なところがあったりしたが、それにしてもびっくりするほど良い舞台だった。
まずオクタヴィアンのステファニー・アタナソフが良い。まさにオクタヴィアンだ。ゾフィーはまあゾフィー。特筆すべきはオックス男爵のユルゲン・リンで何は無くとも声量が豊かなので説得力がありまくる。
というわけで一幕はさすがに2重唱はきれいなのだが、いまひとつ元帥夫人がぱっとしない感じで退屈だったものの、2幕は男爵が出てからのうっとおしいところも含めて見応え十分、3幕は圧倒的で最後は見事なまでに感動的。
以前、なんか妙な前奏曲だなと思ったが、さすがにシュトラウスの話法は大体わかってきたので、これがオクタヴィアンだということはわかるようになって、するとなんのことはなく最初から下世話な楽劇だなぁと感じる。パパラッパーパパパーが若さに任せて猛進するオクタヴィアンで、バラを渡すところに顕著に出てくる(その後、3幕でゾフィーと元帥夫人の間でおろおろすることろでも流れまくる)ピンポンパンポンみたいなのが混乱しているオクタヴィアンなのだな。順序が逆だが、アラベッラの3幕の前奏曲と同工だということは、オクタヴィアンその実体はマッテオなのかぁとか。
実に良い舞台だった。
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