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日々の破片

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2018-06-24

_ バーリ歌劇場のイル・トロヴァトーレ

上野でイル・トロヴァトーレ。

聞いたこともない歌劇場だが、フリットリのレオローラを目当てに行ったら、フリットリは気管支炎で欠場だった。3/11の後も日本に来てくれていた人だから、本当に体調が悪いのだろう。残念だがしょうがない。

代役のヴァシレヴァは声はきれいで嫌いではないが、特に1幕2場の登場シーンでは音程がおかしいように思えて気になった。全体的にあまり深み(多分、倍音をどう含めるかということだと思う)は無いので、単調な印象を受けた。悪くはない。(フリットリとヴァシレヴァはスカラ座のファルスタッフで共演しているのでおれは観ているはずだな)

それよりもメーリが素晴らしい。結構有名な人らしいのだが(一緒に行った人は、メーリとフリットリなら楽しみだと言っていたから、おれが知らないだけなのだろう)、最初の舞台裏からポロンポロンに合わせて歌うところが高音が良く入ったきれいな、しかし通る声で、おやこれは本物がやって来るぞ、と期待感が高まる。

ルーナ伯爵、レオノーラとのチャンバラ3重唱では、ヴァシレヴァと音域が完全に重なってなんじゃこりゃみたいなところもあったが、歌う歌う、3幕はおおこれぞイタリアオペラみたいな調子で実に良かった。

というか、名前が見つからないが開幕早々の中隊長の昔語りも良ければ、ルーナ伯爵のガザーレも良い味出している、というか声が朗々としていて、これまたおおヴェルディですなぁと良い気分にしてくれる。

ルーナ伯爵はいちいちポーズを決めては去る演出なのだが(マントをぱっと跳ね上げて去ったり、修道院のシーンでは剣を放り投げて去ったり)、どれもきっちりと決まってかっこいい。

それにしても聞いたこともない歌劇場とはいえ、序曲の金管鳴りまくりだろうがなんだろうが、実に決まりまくるし、合唱の迫力(火刑台の炎にしろ、城を奪還して宝物を奪えにしろ、ジプシーの歌にしろ)も凄まじく、なんかすごく良い時を過ごせた。

5階にまったく人が入っていなかったが、もったいないなぁ。

これまでイル・トロヴァトーレは魔笛を越えるでたらめでバータリーなストーリーだと思っていたが、今回、異なる印象を持った。

マンリーコの母親の演出と歌いっぷりが良いからかも知れないが、3幕でルーナの一党に捕まる場面で、母親は兄に弟を殺させるために意図的に捕まったように読めたからだ。

であれば、完全に一貫しているし、最後の最後の復讐は成し遂げられた! から、おれは生き続けなければならないが、見事な大団円として成立する(ガゼーレはここでも最後をピシッと決めて、見事だった)。

ということは、ニコリッチ(母親)もまた名演だったのだ。

すごく良いものを観られたな。


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