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日々の破片

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2019-03-31

_ ダンボ

ティムバートンのダンボを観にバルト9。

地下鉄から出たら新宿御苑の花見客が群れをなしていてびびる。その余波なのかバルト9のエレベータ待ちの大行列が十重二十重に丸井を囲んでいてあやうく本編上映に間に合わないところだった。

映画が始まると、映画の中の映画でわくわくがたまらない。列車と煙は最高だ。ケイシージュニアが元の曲を少し不穏に変えた中を走りまくり、コンパーメントが映されて登場人物が紹介される。それにしても多芸な力持ちの多芸っぷりには驚くというか多芸の意味を理解したのは最後の紹介のときだったが。

原作は前半で終わる。クライマックスは当然のように火事のアパートからの飛行だが、もう最初からダンボが空を飛ぶのは自明だから出てくると同時に飛んでしまって、意外なほどそこには重点がない(ように思わせて、やはりここぞというときには飛ぶので飛翔にまつわるカタルシスはありまくる。飛翔のカタルシスといえば、突然野田秀樹の白夜のワルキューレか彗星のジークフリートだか、どちらかの飛翔シーンを思い出したり、ウィズの飛翔シーン(これが一番映画的にはうまく表現されていたと今でも思う)を思い出したりもして、映画は記憶だよなぁとつくづく納得したり)。

原作と最も顕著な相違は、獣と人間だけはリアリズムで分離したことで、ティモシーは白いハツカネズミだしそもそもダンボと友誼を交わすわけではない(お勧めはされる)。コウノトリが不吉な預言を告げるかのように出てくるのはおもしろい。意地悪な上流のおばさん象たちは出てこない代わりに鬼のような飼育係が出てきてあまりの悪役っぷりに気分悪いなぁこれがこのまま出てくるのかなぁと思うとあっという間に退場していくのはなんだろう? 当然のように街の鼻つまみものの黒い集団も出てこない。

代わりに親子の物語に話を変えていて、まあそれもありかなぁとかは思う(母親の喪失の2つの物語と、母親の回復(昇華)の2つの物語の同時進行と言えなくもない)。それにしても、アニメと異なりそれなりのリアルな質感を持つ象が空を飛ぶのは、絵的にはあまりに異様で、本気でティムバートンはダンボが飛ぶ、サーカスといえばフリークスそれは見世物な映画を撮りたかったのだろうなぁという気にはなる。

何の役にも立たなそうなイカサマっぽいサーカス団員たちが実はそれぞれの持ち味を発揮しまくって大団円へ向かう様子はフリークスを思い出す。特に太ったマーメイドと、奇術師が抜群だが、奇術師に対する比重の掛け方とか謎演出も多い(同じくダンボが奇術師と同様な役を果たすシーンも異様に長い。何か、作家としてはスィッチに対する強い思い入れがあるのだろうか)。インドの蛇使いが的確な一言居士の役回りで良いし、実は本当の蛇というのも味があるが、なぜいきなり主人公を締め上げるのかとか、ふざけた演出が大量に散りばめられていて実におもしろい。

元の作品を切りまくって公開版にしたのかな、と思うのは、サーカス団長がいつの間にか銀行家と仲良くなっているところとか、いくつか。おそらく3倍くらいの長さのディレクターズカットが出てくるのだろう。

酔っ払いのピンクの象の本歌取りも不思議で、異様なまでにダンボの目を強調していて(原作だと酔っぱらってトローンとするのだが、同じくトローンとさせまくる)、後に何か続けるのかと思うと、別にそんなこともないとか。

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ダンボといえば1941。


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