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ラ・ボエームは一番好きなオペラだし、粟津演出も好きなので楽しみに観に行く。始まると席のせいか、序曲が音塊のようで??となる。
声は好みではないがルドルフォは良い感じだし、マルツェッロがとても良い。
が、ミミがやって来てからどうも良くない。
冷たい手だからの聞かせどころが異様にテンポが遅い。あまりに遅くてルドルフォが困惑しているように聴こえる。初日じゃないよな。
さらに私はミミではあまりに遅いのでミミが先に終わらせて待っているように聴こえる。
というか、遅い。
先日のトゥランドットがとても良かったのだが、以前のトリスタンのときに感じた、自己陶酔でどんどんテンポを落としてオーケストラに歌わせてしまう悪い大野が爆発しているように聴こえる。ムゼッタのワルツでもムゼッタが一歩速い。
女声は通るからオーケストラを振り切れるが男声はそうはいかないので苦しいのではないか。
というわけで、すっかり興ざめしてしまった。3幕以降はわりと普通になったが、先日のリゴレットのベニーニのきびきびした指揮っぷりが耳に残っているだけに、いやでも比較してしまって許しがたい気分となる。
おそらく大野という指揮者はとてもクレバーで分析もしっかりできる反面、歌わせるのが実は苦手なのではないか? そのため、性愛的な甘美さが必要となるとどうしても極端に振れさせてしまうのではなかろうか。だが、歌手があってのオペラなのだった。
それにしても、ミミもムゼッタもマルツェッロもコリーネも実に良い歌だった。
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