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ル・シネマ宮下でデプレシャンのfrère et sœurを観る。日本に配給されるのは8年ぶりなので楽しみ。
特におおこれは映画! と楽しんだのは病院の廊下で弟(ルイ)の存在に気付いた姉(アリス)がいきなり顔側から倒れて、驚いた看護士が急病と思って話しかけると「会いたくない」と言うところ。このシーンはまさに映画で抜群。クリスマス物語で唯一覚えている歩道でいきなり倒れるところみたいだ。
物語は自由自在に過去の因縁と現在を行き来するのだが、最初その仕組みに気付かずレストランで弟が(この時点では)恋人に唆されてアリス! と呼ぶところで一瞬、この女は誰だ? と思った。
そのような仕組みなので、駅の裏のスーパーで買い物かごを落とすシーンではごく自然に話し合ってしまう現在がスムーズに溶け込む。
最初の父親との面会で、父親が一切アリスのほうを見ず(呼びかけもしない)にフィデル(もう一人の弟)とばかり話すところが、アリスと父親の関係に対してどうなっているのか疑問を持たせる(そのシーンより後では普通に話しているので、妻の状態がわからない時点と、わかった時点での心理的な変化なのか、演出上の思いつきなのかはわからなかった)。
シナゴーグにルイが友人の精神科医と訪れるところはおもしろい。帽子は被るが、靴が革靴なのでちょっとまずいのではないかと気にするところでは、そういうものなのかと知った。このシーンは物語ではどうでも良いシーンなのでおもしろいので入れたのだろう。
家族の映画で、家族の確執がテーマという点ではドワイヤンみたいだが、正直なところ、デプレシャンのこのタイプの映画はあまり大したことはないと思った。おもしろいは抜群におもしろいのだが。
やはり映画としてうまいのはサスペンスの作り方で、その意味では、なぜ姉と弟がここまで憎みあうのか、がおもしろい。ルイがアリスの息子(ルイになついている)に対していきなり怒りをぶつけまくるシーンは恐怖ですらある。
ルイの死んだ息子の写真が入ったペンダントの行方のように途中で忘れてしまったのか? というような設定(ルイに渡すことで和解のトリガーになるのかと思った)。
アリスの舞台シーン(成功した女優なのだ)の最初のところでダーシーという男に関する台詞があるので、高慢と偏見を舞台化した劇をかけているのかと思って、なるほど高慢と偏見がテーマなのかなぁと思うと、全然関係なかったり。
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